「民のかまど」の物語

文化161002

『日本書紀』に「民のかまど」の物語が記載されている。聖帝と呼ばれる仁徳天皇の治世のエピソードである。4世紀のことであるから、仏教の公伝があった538年よりも前の話である。為政者=権力者の心構えとして、大変な美談であるので、山鹿素行のような儒学者が好んで引用した。彼の著書『中朝事実』でも取り上げている。

中国では、統治者は徳がなければならないとされるゆえに、飢饉が発生し治安が悪化すると、統治者の不徳とされ、血で血を洗う「易姓革命」を、歴代王朝で繰り返している。

(現代中国も、共産党王朝であるが、これもいずれ、その運命をたどるのであろう。)

ところが、日本の場合、皇統が2600年以上も続いている。これは世界に誇る歴史である。こう言うと、世間はすぐに右翼というレッテルを貼りたがるが、『古事記』や『日本書紀』といった歴史書を、物語として知識を持っておくことは、国際化時代に大事なことである、と常々感じている。リベラルアーツとして、いまここでの課題解決のための視点を与えてくれる。知らない人も多いので、ネットより引用しておく。

 

引用:

仁徳天皇四年の2月6日、天皇、群臣に詔をして曰く
「高台に登って国を望むと、国内から煙が登っていない。思うに、民はもうまったく貧しく、炊飯できるほどの食料も家にないのではないか?…こういう話を聞いたことがある。"良き君主の世には、人々は歌を歌い、家々もやすらか"という歌が古の世にあったと。今、朕は国政にあたって3年になった。歌声は聞こえてこない。煙もまったく登っていない。つまりは、五穀が実らず、民は窮乏しているのだ。畿内ですらそうなのだ。他の国では言うまでもなかろう。」

同年3月24日、詔して曰く
「今より以後、三年に至るまで、全ての庸調(課税)、労役を免除し、民の苦しみを取り除くのだ」と宣った。
この日から、破れてボロボロになるまで衣服や靴をつくらせず、腐っていない食料は取り替えず、宮殿の塀や屋根が崩れても修繕しなかった。風雨が隙間に入り、衣服を濡らした。屋根から覗く星々が、床をあらわにした。
こののち、天候も季節に従い、豊作となった。三年の間、民は豊かになった。民は日々の暮らしを謳歌し、炊飯の煙も立ち上るようになった。

仁徳天皇七年4月1日、天皇は高台から遠くを見渡すと、煙がたくさん登っていた。この日に皇后に語って曰く、
「朕はすでに豊かになった。心配することは何もない。」
皇后は答えて曰く、
「何をもって豊かになったというのですか」
「炊飯の煙が国中に登っておる。民が豊かになったということだ」
「塀は崩れ、宮殿は壊れ、屋内でも衣服が雨に濡れる始末。これのどこが豊かになったというのですか」
「天が君主を立てたのは、民のため。君主というのは、民があっての存在なのだ。古の聖王は、民が一人でも飢えたり寒さに凍えたりしたときには、政策を見直し、自らを責めたという。現在において民が貧しいということは、朕もまた貧しいということ。

民が豊かになれば、朕もまた豊かになるということなのだ。この世では、"民が豊かになって君主が貧しい"ということは、存在していないのだ」

同年9月、諸国の民からこのような申し出があった。「税も労役も免除になってからもう三年になります。宮殿は朽ち、政府の蔵はカラになっています。今は我々も豊かになり、道端の落し物をさらっていく者もおりません。里ではみな家族を持ち、家に蓄えが充分できるほどになりました。もしここで我々が税を払わず、宮殿を修繕しなければ、罰があたってしまいます」
それでもなお、天皇は税を免除し続けた。

仁徳天皇十年の10月、免税から6年後にして、天皇ははじめて税・労役をお命じになり、宮殿を再築した。民は誰からも強制されることなく、老いも若きも協力し、材木や土籠を背負った。昼夜をいとわず競って働き、程なくして宮殿は落成した。このゆえに、仁徳天皇は現在まで「聖帝」(ひじりのみかど)と呼ばれ、讃えられている。(引用おわり)

 

ピーク時よりも月10万円以上も家計所得が減少しているにもかかわらず、消費税を上げる政治家。非正規社員比率を40%以上にもして、日本の「育てる文化」をないがしろにし、終身雇用を放棄、短期的利益追求にまい進する財界人。アメリカや政財界の顔色ばかりを気にして真実を報道しないマスコミ。理論というタコツボ知識から自由になれず、実態を素直に見れない御用学者たち・・・。

彼らが、ここ数十年間、日本経済を停滞させ、アメリカ追従を繰り返し、中国の台頭を許した戦犯たちです。中曽根康弘政権以降、日本を変調させてしまった主導者たちです。そして肝心なことは、未だに反省していない面々が、日本を主導しているということです。

こういう人たちに、この日本伝統の「経世済民」の原点を、再認識させたいものです。

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