ご挨拶

「4つの積み木」について

公教育において、学校が考慮すべき教育ニーズをまとめたものです。

一番下に積むベースの積み木は、

人間としての基礎基本です。早寝早起き朝ごはんであるとか朝夕の挨拶であるとかの基本的生活習慣、他人にできるだけ迷惑をかけない、不快にさせないための道徳・社会規範、さらに仁・義・礼・智・信に代表される人間としての徳目、特に国際化の時代ですから、日本民族としての価値観・倫理規範(エートス)=共生の理念をしっかり植え付ける必要があります。エリートには、是非このエートスを叩き込んでいただきたい。弱者をいたわる惻隠の情といった共生の理念を、日本社会のコンセンサスにしたいものです。

これは家庭の役割が重要ですが、学校も補完する必要があります。この積み木は、しつけにあたる部分で、有無を言わせず強制するべき性格のものです。

その上に積む積み木は、基礎学力と社会人基礎力です。

基礎学力はいわゆる読み書きそろばんといわれる部分で、広く解釈すると、義務教育での知育の部分です。知らないから教えるわけで、教育の「教」の範囲です。授業でわかるまで繰り返してやる必要があります。社会に出れば必要条件なのですが、国語力、算数力は目を覆いたくなるほど低下しています。教員を増員しても、徹底的に鍛えてやる必要性を、一社会人として私は感じています。

社会人基礎力は、前に踏み出す力・考え抜く力・人間関係構築する力から成ります。企業の人事査定項目とほぼ同一です。これは座学では教えられません。自分で頭を打って体験で気づき習得していくものです。教育の「育」の部分です。学校では、授業のほかに部活動、生徒会活動、学校行事等いろいろな仕掛けを用意しています。こういう場を与えるというのが学校の役割です。日本の教育制度のユニークなところです。先生方の人間力に負うところが多いのですが、寄り添い見守る時間をできるだけ確保するという必要があります。

最後に積み上げるのが、職業にもつながる知識教育です。授業で習得から活用、さらに探究のレベルまで指導する必要があります。ところが実際には時間数不足でそこまで達していないという現状があります。

先生方の工夫で、是非「知的テイクオフ」まで深化させてください。興味をもって自分で自主的に調べるというレベルです。その分野が面白いと感じる体験をし、進んで興味を持って調べるという態度を養成することは、社会人になってから絶対的に大事になってきます。

特に、社会のリーダー、エリートには必要条件です。今ここにある現実を、どう解釈しどう理論化し、そして自分の人生哲学にしていくかにつながるからです。(コンセプショナル・スキルといいます)

そして深く知れば知るほど、自分や知識の限界を感じ、人間を謙虚にしていきます。そういうことが、学問の力であります。

政・官・財・学・マスコミなどの現在の日本のリーダーを見ていて、本当に情けなくなるのは、こうした知識と実践を何度も往復し、そこで得られた世界観・歴史観を人生哲学にまで昇華できている人物が少ないからです。接していて、自ずから光る自分の言葉を持っていないからです。しがらみと馴れ合いのなかで、泳いできたような人物ばかりで、芯のある人物が日本から生まれなくなっています。

最後の4つ目の積み木は、個々の生徒の能力を引き出すという手法が有効です。そのためには、先生の力量がすべてです。その分野にどれほど造詣があるかで決まります。生涯学習社会のなかで、先生方は率先して学ぶ必要があります。そしてその姿勢を、生徒に伝播させることが肝要です。ミメーシスという言葉があります。あこがれてマネをすることです。先生方には、一生をかけてその領域まで自分を高める努力を怠らないようにしてください。

そういう意味でも、この「教育コラムマガジン」を活用いただき、これをきっかけに問題意識を鮮明にしてもらいたいと考えます。すべては、子供たちの幸せのために・・・ そしてそれが教育再建の道でもあると思うのです。

上意下達で指示待ちをするのではなく、子供たちのために、学校のために、より効果的な教育活動ができるように、周囲を巻き込みながら行動していきましょう。

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