私の基本的スタンス

私の基本的なスタンス、歴史観について明確にしておきます。

アメリカは、東西冷戦のなかでは、日本の守護神でしたが、現在は(特に経済関係において)利害の反することの多い競争相手になっています。こうしたパラダイムシフトに気が付いていない指導者が多すぎます。政・財・官をはじめ、学やマスコミの世界も、このパラダイムシフトを理解していない論調にあふれています。その結果、対米追随外交に終始し、国益を大きく損ねてきたというのが現状の閉塞感の原因です。

日本は、1980年代の中曽根内閣から対米従属国家に成り果てました。1985年のプラザ合意がエポックメーキングな出来事と言えるでしょう。アメリカの圧力で内需を無理やり拡大することでバブルを発生させ、その崩壊過程での政策の失敗もあり、金融機関に過大な不良債権が蓄積、その処理に多くの時間がかかりました。

1990年代は、中国の改革開放路線のために、ただでさえデフレ圧力がかかっているにもかかわらず、日米構造協議により日本は構造改革を迫られました。これは、規制緩和や競争政策であり、アメリカ企業が日本という市場を獲得しやすくするための改革です。その結果、過当競争状態により、企業収益が悪化、労働市場では賃金が低迷し非正規社員が増えました。

この20年間、経済成長はほとんどできずデフレ不況に追い込まれ、ドル安・ユーロ安に伴う円高により、国内産業の空洞化、雇用機会の喪失により、子供たちの就職もままなりません。

アメリカは、戦略的に行動することができる国家です。教育や経済の分野で、負けたと思うと徹底的に分析し、強みを学ぶと同時にその強みを制限するルール変更を行ってきます。それに気が付かないのが日本のリーダーたちです。日米で逆の流れになりました。

教育に関しては、アメリカは1983年に「危機に立つ国家」というレポートをまとめ、日本を参考に基礎学力重視へと教育改革を実施しました。逆に日本では、アメリカ流が国際化にふさわしいとされ、臨教審の答申により、個性重視の方向に舵を切り、後のゆとり教育の失敗につながります。

経済においても、アメリカは商務長官マルコムボルドリッジが中心になり、日本研究が行われ、優良企業の特徴や日本的経営の優位性が抽出されています。これが逆輸入されたものが「日本経営品質賞」です。

参考:

日本経営品質賞は、4つの理念からなり、日本が誇る公益資本主義や「育てる文化」を大切にした組織風土を提唱しています。(これに対しアメリカは、資金効率第一主義で「選ぶ文化」といえます)

4つの理念とは、顧客本位、独自能力、従業員重視、社会との調和です。

・良い組織とは、顧客と接する第一線を大切にし現場主義でものを考える。

・強みを自覚し、選択集中してその強みを強化し卓抜な競争力を身に着ける。

・タテヨコナナメの意思疎通が図られ、情報の流れは上意下達ではなく双方向である。

・株主ばかりでなく、従業員や取引先、下請企業など利害関係者すべてに気配り心配りをする。

といった日本的経営の良質な遺伝子を復活させることが、とりわけ今の日本に肝要と考えています。

 

一方の日本は、1980年代からレーガンの新自由主義イデオロギーを取り入れ、アメリカの悪しき金融資本主義、株主資本主義が国際標準だとして、これに同調します。アメリカからの要請を受け、内需拡大による輸入拡大に努めますが、その結果、バブルを発生させ、その崩壊過程で、金融機関を窮地に追い詰め、1990年代からの20年以上に及ぶ経済停滞につながったというのは前述したとおりです。

過度の規制緩和や競争政策の導入で企業は過当競争に陥り、労働者は賃金を押さえられ、消費は低迷、格差は増大し、社会的弱者に大きなしわ寄せがきました。全体としても経済は成長していません。この20年、OECD先進国は約2倍に経済が成長したにもかかわらず、日本だけが蚊帳の外です。構造改革などというデフレ政策をとっているのだから当たり前でしょう。

経済の変調は、社会の鏡である学校の現場において、いろいろな不具合を生じさせています。拝金主義が横行し、自己責任などという社会を分断する言葉が流行りました。先生の権威は地に落ち、学びを放棄した子供たちが増大しました。一方で、手のかかるガラスのハートの子供たちも増えています。家庭に大きな問題を抱えて傷ついた子供たちも増えています。

学校現場にいる先生方こそこういう変化にお気づきのはずです。学校は、子供たちを通じて社会を映し出す鏡の役割を演じるのですから。

これは1980年代に、日本人としてのエートス(民族の倫理規範・価値観)をたたきこまれなかった世代が、日本のあらゆる組織のリーダーになったからだと考えます。

東京裁判史観に毒され、占領軍の罪扶植化計画に基づいた歴史観に立ち、日本人の誇りやエートスを持ち合わせず、国益を忘れ、アメリカに付和雷同してしまったとしか言いようがありません。

アメリカは、日本にとって大事な国ですが、見習うべき国ではありません。米国流市場原理主義では、何度も金融危機を繰り返し、社会を不公正なものにしてしまうのは、近年の歴史で証明されています。アメリカ国内でも若者を中心に「財務省=ウォール街共同体」に対して、デモが起きています。

こういう時代の変化を読めずに、日本は、未だにグローバル化と称してアメリカの悪しき強欲資本主義へと進んでいるようです。今までこれを強力に推し進めたのは、中曽根内閣と21世紀に入ってからの小泉内閣でしたが、これらを強力にバックアップしたのがマスメディアだと思います。

このままの状況を放置すると、日本人の特徴である農耕民族としての共生規範、神道・仏教・儒教からの教えを糧としてきた精神性、武士道由来の公の精神など、失われる可能性もないとはいえません。

もうそろそろアメリカ追随を脱し、民族の誇りを身に付け、自分の頭で考え行動する日本人を育成しないと、日本という国家から日本らしさが無くなり、われわれのアイデンティティは滅んでしまう。

先生方には、是非私の提唱する「4つの積み木」をしっかりと積める学校づくりをお願いしたいと思います。

そのためには、折角アメリカが国家プロジェクトで抽出してくれた「日本経営品質賞の精神」=「日本的経営の良質な遺伝子」をしっかり学んでいただき、学校運営においてきっちりと実践してほしい、と思います。

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